人魚姫の涙



トントン。


部屋のドアが遠慮気味にノックされる。

返事をしないでいると、静かに扉が開いた。

廊下の光が漏れて、部屋の中が微かに明るくなる。


「成也……少しでも何か食べないと」


目を腫らした母さんが小さな皿におにぎりを乗せて現れた。

こんな時に、腹なんて空かない。

俺はチラリと母さんの顔を見て、また窓の外に目を向けた。