人魚姫の涙

訪れた静寂の中、視線を伏せたまま息を吐く。

まだ夢なんじゃないかと思う現実の中で、ポツリと。


「――…紗羅が俺の妹だった」


言葉にして、やっと現実味を帯びる。

夢だった世界が形を得る。

そして、思う。

逃げ場所なんて、もうどこにもないんだって――。


「妹!?」

「あぁ。おまけに双子だ」


自嘲気に笑った俺を見て、和志は目を見開いた。

思えば、いつも冷静沈着な和志がここまで驚いた顔を見たのは初めてかもしれない。


「嘘だろ...…」

「俺もそう思ったよ」

「両親は? だって、お前たち幼馴染として別々に育ったんだろ?」

「母親は同じで、父親は別だ。だから別々に育てられた」

「どういう...…」


意味が分からないといった様子の和志。

無理もない。

誰が聞いても現実離れした話に、頭がついていかない。

だから、俺は混乱する和志に、さっき聞かされた俺達の過去を話した。