人魚姫の涙


息をするのも忘れていた。

これが現実なのか夢なのか分からなくなる。


「谷底……?」

「あぁ。山道を抜けている最中だったそうだ。運転していたのは茜。ただ...…」

「ただ?」

「道は見通しもいい場所で、ブレーキ痕などは見つからなかったそうだ」

「――それって...」


おじさんの言葉でピンときた。

その言葉が意味する事。

最悪の事態。


愛に苦しむ2人。

悲しみの先にゴールなんてなかったんだ。


「自殺...…」