人魚姫の涙



じっと見つめ合う俺とおじさん。

そして、ゆっくりと口を開いた。


「産んでほしいと思っていると、そう言った」

「――っ」


真っ直ぐにそう言った、おじさん。

悪魔の様な言葉で――。


「なんでそんな事言ったんだよ! その時の茜さんの気持ちが分かる!?」

「あぁ。でも、もう自分に嘘はつきたくなかったんだ。自分の為にも茜の為にも」


強い眼差しでそう言ったおじさんの言葉に、ありえない、と呟く。

だって、茜さんの身になってみたら、それは悪魔のような言葉。


愛する人から告げられた言葉。

他の女の人のお腹の中に宿る、愛する人との子供。

そんなの、狂わないわけがない。