「――成也の父親は大悟よ」 すると、母さんが俺の顔を見つめながら、迷いなくそう言った。 そして、黙る俺から目を離して、『成也』と書かれた母子手帳の中から1枚の写真を取り出した。 そこには、1人の男が写っていた。 「大悟の昔の写真よ。今の成也と同じ年くらいの」 その写真を見て、目を見開く。 誰が見ても分かる。 俺と同じ目。 俺と同じ鼻。 微笑むその笑顔は、俺とそっくりだった 。 紗羅に見せてもらった写真の時は特に何も思わなかった。 だけど、この写真は誰がどう見ても『俺自身』だった。