人魚姫の涙


部屋の中は静まり返っている。

薄暗い部屋の中で、黙り込む俺達。

沙羅は尚も涙を流し続けている。


その姿に、その言葉に、違和感を覚える。

一生……笑って?

なんだ、この違和感。

まるで、最後の別れみたいな――。


グルグルと沙羅の言葉を頭の中で繰り返す俺の手を、沙羅は離さず掴んでいた。

でも、しばらくすると、ゆっくりと顔を上げて俺の目を見つめた。

涙は、もう流れていない。



「ねぇ、成也。私が日本に帰ってきた理由、覚えてる?」