人魚姫の涙


「でも、忘れてたんでしょ? 私の事」


そう言って、紗羅はぷーっと頬を膨らませた。

その姿に苦笑いを浮かべる。


「忘れたわけじゃない。心の奥に閉まったんだ」

「うまい事言ってごまかしてもダメだからね!」

「幼かった俺には、そうする事でしか前に進めなかったんだよ」

「ふぅ~ん」

「でも、これからはずっと紗羅だけを想うよ」

「――」

「ずっと、紗羅だけを」


きっと、俺はもう紗羅以外愛せない。

紗羅から離れる事なんてできない。


だって、磁石の様に求めてしまうんだ。

紗羅を――。