「入るよ?」
その声と同時にキィっとドアがゆっくり開いて、水玉のルームウェアを着た紗羅がゆっくり入ってきた。
「てっきり寝たのかと思った」
「も~そんな子供じゃないよ」
少し頬を膨らましてストンと俺の前に座り込んだ紗羅に意地悪を言う。
内心緊張している事を悟られないように、いつも通りを装った。
カチカチカチカチ。
静かな部屋に時計の音だけ響く。
いつもなら他愛もない事を楽しそうに話すのに、今日の紗羅は座ったまま何も喋らない。
不思議に思って、その顔を覗き込む。
「どした?」
俺の声に反応して、僅かに伏せていた紗羅の視線が持ち上がる。
その瞬間、真っ青な綺麗な瞳に俺が映った。
真剣な眼差しに、次の言葉が出てこない。
すると、紗羅は意を決したように座ったまま前のめりになって言葉を落とした。
「成也は、いつから私の事が好きだった?」
「え?」
思ってもいなかった質問に間抜けな声が落ちる。
しかし、紗羅は至って真剣な表情のまま俺に詰め寄った。
「ねぇ、いつから?
「どしたんだよ、急に」
「急じゃないもん、ずっと気になってたの」
はぐらかそうとする俺を逃がさないように顔を更に近づけてくる紗羅。
もしかして、こんな事聞きにきたのか?



