人魚姫の涙

「それにしても、成也の衣装もスゴイね~。絵本に出てくる、王子様みたい」


そう言って、紗羅はキラキラした目で俺を見上げる。

無邪気なその姿に、笑みが零れる。


「すごいよな~。よくこんな衣装作れたよ」


黒のベルベット生地が混ざる漆黒の衣装。

所々に銀色の刺繍が施されていて、本当の舞台衣装みたいだ。

真紅のローブは床スレスレまで伸びていて、スターウォーズの衣装に似ている気がする。


「それより段取りは覚えてんのか?」

「うん! 歩いて、手を繋ぐんでしょ?」

「え?」

「え? 違うの?」

「そう聞いたのか?」

「うん!」


自信満々にそう言って紗羅は大きく頷いた。

うん。

紗羅に聞いたのが間違いだった。

俺がしっかりする他ないようだ。