人魚姫の涙


「紗羅」


聞きなれた大好きな声がして、無意識に振り返った。

すると、入口の所に中世の騎士のような姿の成也が立っていた。


「成也!」

「用意できた?」


ニコッと笑った成也は組んでいた長い足をのばして、こっちに歩いてきた。

その佇まいは、舞台俳優のように素敵で思わず歓喜の声を上げる。


「成也スゴイ!! 王子様みたい!!」


幼い頃映画で見た王子様のような姿の成也。

真っ黒な服に身を包み、肩から真紅のローブが床につきそうなほど伸びている。

腰からは本物みたいな剣も添えてある。


「紗羅はお姫様みたいだ」


キョロキョロと忙しなく成也の衣装を見る私を見て、成也はそう言ってクスっと笑った。

そして、私の頬に手を添えて、コツンとおでこをくっつけた。


一気に近くなった成也の顔に、頬が僅かに赤くなる。

いつもに増してかっこいい姿に魅入ってしまう。