人魚姫の涙

無意識に上がる頬のまま、自分の着ている衣装を飽きもせずに眺める。

そんな私を見て、塩谷さんがニッコリと笑った。


「紗羅ちゃん、サムシングフォーの伝説って知ってる?」

「サムシングフォー?」

「そう、結婚式の時の言い伝えであるの」

「どんな?」

「結婚式の日にね、何か一つ古いもの、何か一つ新しいもの、何か一つ借りたもの、そして、何か一つ青いもの」

「――」

「それらを身に着けた花嫁は、一生幸せになれるの」

「幸せ...…」

「紗羅ちゃん達を初めて見た時ね、本当に2人とも幸せそうだった。お互いを本当に愛し合ってるんだなぁ~って思った」

「――」

「まるで、結婚式を控えたカップルみたいで。この2人だ―!! って思って、思わず声をかけちゃったの」


そう言って、恥ずかしそうに笑った塩谷さん。

モジモジと手でインカムを、いじっている 。

だけど、その言葉に胸がいっぱいになる。

その言葉一つ一つが夢のようで――。