人魚姫の涙





「紗羅ちゃん、足元気を付けて」

「うん。ありがとう」


辺りは一気に暗くなり、ショーが開かれる中庭だけが照明の明かりで明るかった。

想像以上の規模に一気に胸が高鳴る。

昔、パパと見たサーカスの会場みたいに、沢山のテントが並んでいる。


「すごーい!」

「年々、本格的になってるのよ」


誇らしげに舞台の裏側を眺める塩谷さんの言葉に、大きく頷く。

舞台の裏には沢山の人達が慌ただしく動いている。


簡易的な控室や、映画のセットみたいな大きな照明や機材。

その間を、インカムをつけた学生達が大きな衣装を持って右往左往している。

それでも、私と塩谷さんの前を通ると、みんな立ち止まってじっと私を見てきた。


「みんな、紗羅ちゃんに見とれてるのよ」

「そうかなぁ、みんな衣装に見とれてるんだよ」


塩谷さんの作ったドレスは本当に綺麗。

こんなドレスを着るのが夢だったんだぁ。