「そういえば、成也は?」
まだショーには時間があるとかで、椅子に座って待つことにした。
わざわざジュースとお菓子まで出してもらって、お腹ペコペコだった私は何度もそれを口に運ぶ。
「成也君なら他の子が着付けしてくれてるよ」
「そうなんだ?」
「それより、まさかあの成也くんが引き受けてくれるなんて思ってもいなかったなぁ」
夢心地でそう話す塩谷さんの言葉に首を傾げる。
「なんで? 成也、頼んだら何でもやってくれるよ?」
「それは紗羅ちゃんだからだよ~。あの人は、学校の中では王子様的存在でね、みんなの憧れなの」
「そうなの?」
「でも、彼、どちらかというとクールじゃない? 女の子と話している所とか、あんまり見た事ないし。だから、みんな話したくても、話せない。高嶺の花」
ほうっと甘い溜息を吐いた塩谷さんは、女の子特有の甘い雰囲気だった。
だけど、私の知っている成也と塩谷さんが思っている成也は少し違うみたいだ。
確かにはしゃいでいる姿なんてあまり見た事ないけど、近寄りがたい存在ではない。
それは私が幼い頃から一緒にいるからなのかは分からないけど。



