人魚姫の涙

「無理なもんは無理」

「せいやぁ……」

「そんな顔で見つめてもダメだ」

「そっかぁ……。仕方ないよね」

「――」

「でも、一緒に出たかったなぁ」


頑なな俺を見て、紗羅はいよいよ膝を抱えだしてしまった。

あまりにも落ち込んだ様子に、俺が悪い事をした気分になる。

隣にいた女の子も、慰めるように紗羅の背中を摩った。


「ドレス、素敵なのになぁ」


さっきのドレスのデッサン画をじっと見つめて、ポツリと呟く。

落胆の色を隠せないその表情に、申し訳なさがジワリと滲んだ。


「成也ぁ」


ゆっくりと顔を上げて、真っ青な瞳を微かに潤ませて俺を見つめる紗羅。

まるで何かの光線でも出ているのか、罪悪感が押し寄せてきて目を逸らしそうになる。


「お願い」


さらに甘い声で、まるで誘っているとしか思えないような声色でそう言う紗羅。

その瞬間、ぐらぐらと感情が揺れる。

さっきまで頑なに拒んでいた気持ちが、呆気なく剥がれていく。


「~~~~っ」

「ねぇ...…」

「~~~っ」

「せいやぁ」

「―――あ~~!!! 分かったよ!! やってやるよ!!」

「ほ、本当!?」

「あぁ!!」



――勝者。

紗羅。