人魚姫の涙

和志の言う通り、紗羅はその事に関して何も思ってないのかもしれない。

ハッキリとは言わないけど、きっと夏休みが終われば紗羅はイタリアに帰ってしまう。

そうなれば、次いつ会えるか分からない。


「俺、イタリアで就職しようかなぁ~」


最近そんな事を考えたりする。

紗羅は今まで付き合ってきた子とは違う。

初めて、本当の恋をしたのだと思う。


こんなにも愛おしい。

こんなにも離れたくない。

こんなにも未来が見える。

そんな人は初めてだった。

だから、手放したくなかった。


「まぁ、どうするかは知らねぇけど、俺は応援してるよ」

「サンキュ」


きっと、俺の未来は紗羅とある。

そう信じて疑わなかった。