人魚姫の涙

◇◆◇


カタ……。



「ん」


ふと物音で目が覚めて、重い瞼を開ける。

ぼんやりとした世界がゆっくりと、リアルになっていく。


「紗羅?」


無意識に紗羅の名前を呼んで隣に視線を向ける。

だけど、俺の腕枕で寝ていた紗羅がそこにはいない。

トイレか?

眠気眼のまま時計を見ると、深夜の2時。


眠たい目を擦りながら、ゆっくりと階段を降りて紗羅の姿を探す。

家の中は真っ暗で、音もしない。


「紗羅?」


まだ、寝起きで擦れた声しかでない。

でも、声を出した途端カタンと母さんの部屋から音がした。