人魚姫の涙

「私、その時から成也に恋してたの」


じっと私を見つめる成也に微笑みかける。

すると、少し茶色がかった成也の瞳が微かに揺れたと思ったら、ゆっくりと抱き寄せられキスされた。


温かくて、柔らかい、マシュマロみたいな唇。

その唇がゆっくりと離れたと同時に、おでこをコツンとぶつからせて成也は微笑んだ。


「紗羅は昔から、俺のお姫様だった」

「お姫様?」

「泣き虫のね」


悪戯っ子のようにそう笑って、今度は深い、深いキスをした。

私のファーストキスだった。