人魚姫の涙

「でも、すごいよな~。隣の家の子が自分と同じ日に産まれるなんて」

「そうだね~。でも、成也の方が少しだけ早く産まれたみたいだから、お兄ちゃんだね」

「まぁ、紗羅は姉ってタイプではないよな」

「え~!なんで~!」

「紗羅は甘えん坊だから」


そう言って、私の髪を優しく撫でてくれる成也。

大きな手がゆっくりと私の髪を滑っていく。

向けられるその眼差しに、胸が甘い痛みを生む。


「ねぇ、成也」

「ん?」

「昔、私が近所の子に苛められてた時の事覚えてる?」

「――」

「私、昔ね。この目の色が大嫌いだったの」


みんな真っ黒で暖かい色の瞳なのに。

私だけ、真っ青の冷たい色。


どうして、みんなと一緒じゃないの?

どうして、私だけ違う色なの?


近所の子に目の事で意地悪を言われた時、この容姿が大嫌いになった。

成也と同じ色がいい。

成也と同じがいい。