人魚姫の涙




「懐かしい~! 成也可愛い~」

「可愛いって...…。っていうか、どの写真もだいたい紗羅泣いてるな」


意地悪な顔で笑った成也に、むっとして唇を尖らせる。

でも、確かに写真の半分は成也の服をつまみながら泣いてる。


互いの両親の仲が良かったせいか、私達は生まれた時から兄妹のように一緒にいた。

だから、写真もだいたい二人一緒に映っている。

私の家にある写真も、ほとんど成也と一緒に映ったものばかりだ。


「俺の小さい頃の紗羅は泣き虫で寂しがり屋のイメージなんだよな」

「成也はやんちゃで、いつも走り回ってたよね」


いつも置いていかれない様に成也の背中を追いかけてた。

そんな私の手を成也はいつも握ってくれていた。


「あ、誕生日の時の写真だ!」

「うわ、懐かしい」


苺のショートケーキを前に、ピースをする2人。

きっと私がイタリアへ行く前の最後の誕生日会だ。


「いつも一緒にお祝いされてたよな」

「ふふっ、そうだったね」


そう。

私達の誕生日は同じ日 。