「気持ち悪い?」
「そう」
怪訝そうに返して、こっちを向いた真凡ちゃんはまだ納得してないようだったから、やわらかそうなほっぺたを、むに、とつまんでみる。

「自分のやるべきことを他の人にやってもらったら、その場は楽できるかもしれないけど。こうやって、誰かにそういうの嫌だなって思われることも多いでしょ?それって、損してると思うんだよね」
「……まあ」
「だから、私は、損はしてないの。ちょっと手が空いた時にやれることをやって、“あの人、えらーい”って思われてるんなら、最終的には得してるんだよ」

パチパチパチ、とおどけて拍手をしてみせたけれど、真凡ちゃんはまだ微妙な表情。
「ま、捉え方は人それぞれってこと」

そんな言葉で話しを締めくくって、時計を確認した。
「あ、もうこんな時間。昼休み、終わっちゃうよ」

慌てて残ったお弁当を食べ始めた真凡ちゃんを横目でみながら、私は、最初に真凡ちゃんが言った言葉について考えた。


都合のいい女……

匡さんが、そんな風に思っていたら。
私は……これから、どうするんだろう?