「もう!私は真面目に言ってるのに」
拗ねただけだったはずの真凡ちゃんが、怒り始める前にじゃれつくのは止めて。
「ちゃんと聞いてたよ」
真凡ちゃんの返事はないけど、本当は怒ってないのはわかってるから、かまわずに続ける。
「でもね、私は、誰が損するとか、得するとか、そういうことよりも、ちゃんと期日までに仕事を終わらせるっていうことの方が大事かなって思ってて」
「それはそうですけど」
「でしょ?それに、チームとして仕事にあたってるわけだし。お給料もらってる以上は、やれることはやろうかなって、ただそれだけなんだ」
「……お給料もらってるのは、みんな一緒です」
「そうだね」
正義感の強い真凡ちゃんが、私のために怒ってくれているのを感じてニヤケそうになった顔に手をやり、ひきしめる。
「同じお給料もらうなら、やること少なくした方が賢いって思う人もいると思う。でもさ、それって、なんか気持ち悪いんだよね」



