冬の鋭い空気が、僕を撫でては嘲笑っていく。
僕は今、君とよくバスを待ったあのバス停に向かう。今更後悔なんてないし、もうどうでもよかった。


ただ歩く。ただただ、歩く。

慣れないブランド物の新しい靴でできた靴擦れ。見た目だけは一丁前に仕立てあげたオーダーメイドスーツ。そんなに価値があるようには思えないブランドバック。
今じゃ一体何に価値があって何が価値がないのかわからない。僕は一体なんのために働いていたんだろう。