紳士は話し終わると、自分が話している間、ディアナが何を考えていたかなんてことは、つゆほども知らず、満足そうに微笑んだかと思うと、急にまじめな顔になってディアナの前に立ち、うやうやしく一礼をした。それから、おばあさんに向かって、大きくうなずくと帰って行った。

 ディアナは、そのとき四歳だった。このおかしな訪問者のことを、ディアナ自身はじきに忘れてしまったが、このときから、ディアナの極端な癇癪(かんしゃく)は少しずつ治まっていった。

 しかし、幼いころに持っていた潜在的な激しさは、いつまでもディアナの気性として残った。