隠された鏡の伝説Ⅰ選ばれし者の定め

「僕の話が、とても本当のことは思えないような話だということは、よくわかってるよ。それに、ユーディアへ君に一緒に来てくれと、頼むってことがどんなに、突拍子もないことかって言うことも……君はユーディアがどんな国なのかも知らないし、何のために君が行かなけりゃならないのかわからないのだから、急に君に来てくれって言ったって、とても無理だって……」

「私、ユーディアに行くわ。」

ディアナは、言葉少なに、しかし即答した。

アレセスは、ディアナの答えを聞いて、言葉が宙ぶらりんになってしまったように、口を開けたまま、ディアナの顔をぽかんと見つめた。

「行くって……どうして、そんな……」

つぶやくようにそう言って、ディアナを呆気に取られて見つめるアレセスを、ディアナはまっすぐに見つめた。

ディアナは、今見たことをどのようにしてアレセスに伝えたらいいのか考えた。

そして、口を開いて、何でもなさそうにこういった。

「こういうことを、簡単に決めてしまうなんて、ずいぶん無鉄砲な女の子に見えると思うけど、そういうわけじゃないわ。おばあさまがおっしゃった、いつか来る迎えというのは、あなたのことかもしれない。」

ディアナは、自分がいやし屋として、別の場所に行くことによって、その力を強めるチャンスが与えられるかもしれないのだということを語った。

だが、ディアナは、今アレセスの話を聞いている間に現れた断片的な映像に関しては、アレセスに何も言わなかった。

ディアナ自身でさえ、なんだか信じられないような気がしていたのだ。アセレスに信じてもらえるとはとても思えなかった。

しかし、あの映像が、ユーディアの国と、そしてそこに住む人々が、ディアナの助けを必要として、ディアナを呼んでいるという思いを、ディアナの中に強く起こさていたことも事実だった。

自分のいやしの力を強めるという大義のため、そして、恐れながらも、むやみと心を惹かれる、あのユーディアの映像。

この二つの理由によって、ディアナにとって、自分がユーディアに行くのはごく自然で道理にかなっていることのように感じたのだった。

アレセスは、ディアナの話をすっかり聞いてしまっても、まだ信じられないという面持ちで、首を振りながら言った。