アレセスは、何も言わずに一点を見つめているディアナを相手に、少し戸惑ったように話し続けた。
「名継ぎの騎士としての訓練を受けていた数ヶ月間、ぼくはこの村からいなくなっていたから、帰ったらきっと大騒ぎになっているだろうと覚悟してた」
アレセスは、冷たくなった紅茶を一口飲んだ。
「ぼくがいなくなってから、両親は驚いてぼくを探し回ったらしいけど、ぼくはユーディアにいるわけだから、当然見つからない。警察に捜索願いを出して、新聞にも写真入りで広告が出たらしい。」
ディアナは、行方不明の少年を捜索する警察の記事や、その広告を何ヶ月も前に見たことを思い出した。
「ぼくは、ユーディアから昨日帰ってきたばかりなんだ。昨日、父さんと母さんは、ぼくを見ると涙を流して喜んだ。でも、昨日の晩、父さんはぼくがうまれた時のことを話してくれた。ぼくが生まれたのは良く晴れた夏至の晩だったらしい。父さんは母さんの脇に寝かされていた、生まれたばかりの裸ん坊のぼくを見たとき、僕の肩にある薄いあざを見つけたんだ。そのとき、とうさんは、いつかぼくが両親の元を離れていなくなってしまうということを予感したっていうんだ……それは、理由なんかない、一種のカンのようなものだったらしい。それから、ぼくは少し大きくなって話せるようになると、ぼくはまったく覚えていないんだけど、毎日のように自分は他の国に行ってしなければならないことがあるんだと、口癖のように繰り返すようになったんだそうだ。母さんは回らない舌でたどたどしく話す幼いぼくの言うことを、笑って聞き流していたみたいだったけど、父さんには思い当たる節があった。それは、ぼくが生まれたときに感じた直感だ。それで、父さんはぼくを大切な預かり物として、父さんがぼくに与えられる全てを込めて育てたと言った。その中には万国共通の言語である古語も含まれていたんだ。父さんにはそういう思いがあったから、ぼくが消えていなくなったとき、余り騒がず、来るべきときがきたと覚悟したそうだ。だから、ぼくが父さんにユーディアの話をしても、父さんは驚かなかった。」
ディアナは、アレセスが話し終わっても、口を開かなかった。
アレセスは、水色の目でディアナを見て、少し心配そうに言った。
「名継ぎの騎士としての訓練を受けていた数ヶ月間、ぼくはこの村からいなくなっていたから、帰ったらきっと大騒ぎになっているだろうと覚悟してた」
アレセスは、冷たくなった紅茶を一口飲んだ。
「ぼくがいなくなってから、両親は驚いてぼくを探し回ったらしいけど、ぼくはユーディアにいるわけだから、当然見つからない。警察に捜索願いを出して、新聞にも写真入りで広告が出たらしい。」
ディアナは、行方不明の少年を捜索する警察の記事や、その広告を何ヶ月も前に見たことを思い出した。
「ぼくは、ユーディアから昨日帰ってきたばかりなんだ。昨日、父さんと母さんは、ぼくを見ると涙を流して喜んだ。でも、昨日の晩、父さんはぼくがうまれた時のことを話してくれた。ぼくが生まれたのは良く晴れた夏至の晩だったらしい。父さんは母さんの脇に寝かされていた、生まれたばかりの裸ん坊のぼくを見たとき、僕の肩にある薄いあざを見つけたんだ。そのとき、とうさんは、いつかぼくが両親の元を離れていなくなってしまうということを予感したっていうんだ……それは、理由なんかない、一種のカンのようなものだったらしい。それから、ぼくは少し大きくなって話せるようになると、ぼくはまったく覚えていないんだけど、毎日のように自分は他の国に行ってしなければならないことがあるんだと、口癖のように繰り返すようになったんだそうだ。母さんは回らない舌でたどたどしく話す幼いぼくの言うことを、笑って聞き流していたみたいだったけど、父さんには思い当たる節があった。それは、ぼくが生まれたときに感じた直感だ。それで、父さんはぼくを大切な預かり物として、父さんがぼくに与えられる全てを込めて育てたと言った。その中には万国共通の言語である古語も含まれていたんだ。父さんにはそういう思いがあったから、ぼくが消えていなくなったとき、余り騒がず、来るべきときがきたと覚悟したそうだ。だから、ぼくが父さんにユーディアの話をしても、父さんは驚かなかった。」
ディアナは、アレセスが話し終わっても、口を開かなかった。
アレセスは、水色の目でディアナを見て、少し心配そうに言った。
