「自分の持てるエネルギーを、一日一日使い切ってしまうほどに、人に与えなさい。愚痴や文句を言わないで、物事の良い面を見て、毎日を明るく過ごしなさい。人に優しく、心穏やかに過ごしなさい。そうすれば良いエネルギーが、物事を良い方向に導いてくれる。そうしているうちに、ディアナ、お前の望むチャンスが与えられる。そして、そのチャンスが訪れたときには、それを逃してはいけない。それは、どんな形を取って表れるか、誰にもわからない。チャンスというものは見逃さないように気をつけていなくてはならないんだ。しかし、ディアナ、勇気を出しなさい。お前の力を待ち望んでいる人々がいるのだから。」

おばあさんはそう言うと、そそくさとした動作でかごを引き寄せた。

そして、やけにかごに顔を近づけて、乾燥した葉を調べ始めた。

その顔はディアナからは見えなかったので、おばあさんがどんな表情をしているのかディアナには見えなかった。



 それからディアナは、毎日小屋にやってくる人々に、今まで以上に心を込めて、自分にできる限りのことをした。

ディアナの歌では治らない子供と、その子が好きな遊びをして、楽しい思いをたくさんさせて笑わせた。

ディアナにはどうにも解決できそうにない、複雑な症状に悩む主婦
―その人は、お客さんが来るとどうしても、家の中で床に足を付けて立っていることが出来ず、天井すれすれを飛んでしまい、また、毎晩寝る前にどうしても風船を自分とご主人のベッドルーム一杯になるほどたくさんふくらませて、その風船に囲まれていなければ、眠ることが出来ないという日々がもう七年間も続いていた。
精神療法、催眠療法、前世療法、動物療法を試し、生霊のお払い専門の祈とう師に祈ってもらったり、滝に打たれたり、火の上を歩いて悪霊を追い出す荒行など、考えられるありとあらゆることを試したが効果がなく、風船による窒息の恐怖から、この七年間安眠したことがなく、十七キロもやせてしまったという、そのご主人の涙ながらの頼みで、ディアナのところにやってきたのだった―
の、陽気に大笑いしながら話す話…