「私の力を強くするには、どうしたいいの?」

ある日、ディアナは裏庭でお茶にするための葉を広げて干しているおばあさんのところへ行って尋ねた。

おばあさんは手を止め、葉っぱの入ったかごを少し押しやって、ディアナをじっと見つめてから言った。

「お前の中には、もっともっと強い力が潜んでいる。でも、それを発揮するようになるまでには長い長い時間がかかる。」

ディアナは、自分の気持ちを抑えるようゆっくりと息を吐きだながら聞いた。

「どのくらいかかるの?」

「そうさね、どのくらいかねぇ。十年か、二十年か、はたまた五十年か。わからんねぇ。だんだんと身につくものなのだよ、ディアナ。」

おばあさんは、かすかに微笑みながら言った。

それはまるで、ディアナの境遇を楽しんでいるかのように見えた。ディアナは腹立たしい気持ちで、

(私は、今、その力を発揮したい!今、苦しんでいる人を助けたい!十年後や二十年後では、今苦しんでいる人にはもう手遅れかもしれない‼)

と、叫びだしたいのを抑えて、下を向いて黙って立っていた。

おばあさんは、自分の背丈をとうに追い越したディアナをいとおしそうに見て、ディアナの髪をなでた。

「いつも道は一つではない。探せば必ず別の道を見つけることができる。」

ディアナはパッと顔を上げた。

「それは、どういうこと?」

おばあさんは、ディアナのはやる気持ちを抑えるように、右の手を少し上げて、静かな声で言った。

「ここではない場所で、より早く完成に近づく。」

「そこにはいつ行かれるの?」

ディアナは、手を握りこぶしの形にして意気込んで尋ねた。

自分の力を強くする場所があるなら、今すぐにでも行ってみたい。

ディアナの大きく見開かれた目と裏腹に、おばあさんは目を閉じた。

「今は、自分のやるべき事を、ここで精一杯やりなさい。」

黙り込んだ一瞬の後に、おばあさんは目を開くとディアナに言った。

話し出したおばあさんの声には、ディアナを圧倒させる何かがあった。

そして、ディアナはおばあさんの言葉に釣り込まれるような、不思議な感覚を覚えた。