だが、これら贈り物は、差出人のところがいつも空欄で、不思議に思ったディアナは贈り物が届くたびにおばあさんにたずねた。

しかし、おばあさんは、
「誰か分からない人からさ。」
と言って、笑うだけで教えてくれない。だから、ディアナにはいつまでもたっても、一体誰が送ってくれるのか、わからなかった。

 この贈り物は、ディアナにとってたとえ用途の分からないものが入っていようとも、不思議の国の扉を開ける時のように、わくわくしてたまらない魅力の詰まった箱だった。


 中でも、ディアナを一番感動させたのは、動物か何かの骨をけずって精巧な細工を施したブローチで、ディアナはそれを十歳の誕生日にもらった。

直径四センチほどのガラスでできた円いケースの中に、森の中にいる妖精の少女の姿をおさめたものだった。妖精の少女は、わずか二センチくらいの背丈しかなかったが、その長い髪のなびく様子や、かわいらしくつんと上を向いた鼻、きゃしゃな手足が、ディアナと同じ血の通った人間のように生き生きとしていた。

そして、実際ガラスケースの中で、妖精の少女は木の後ろにかくれたり、風のように駆け回ったり、木の幹に寄りかかって歌を歌ったりした。

ディアナは見た瞬間に、このブローチの中の妖精の少女に夢中になった。

少女は、ディアナが外にこのブローチをつけていったときには、いつも決まったポーズをとったまま動かなかったので、ディアナはどこへ行くにも、このブローチを片時も離さなかった。