なだれ込んできた警官の剣にバルバクリスは、深手を負ったが、何とか命からがら自分だけは逃げおおせた。
他の仲間たちがどうなったのかはわからなかった。
つかまったのか、殺されたのか…仲間のことは気になりつつも、バルバクリスは山の中に逃げ込んだ。
しかし、傷を手当するすべもなく、まだ底冷えのするこの季節、深手を負ったものが山の中にいつまでもいれば、命が危ない。
そこで、脅して薬などの必需品を調達しようと、山を降り、このキネビスの町外れの、幼いディアナが一人きりで留守番をしているこの家までやってきたのである。
バルバクリスは、ディアナを鋭い目つきで、じろじろと見ていたが、やがてこう言った。
「おまえ、いい度胸だな。俺様が恐ろしくないのか。」
「あたし、怪我をしている人は見慣れているの。」
ディアナは、後ろ手に男を見上げて、物怖じもせずに言った。
「おばあさまのところにはもっとひどい怪我をした人だってくるわ。あんた、おばあさまが帰ってくるまで、家に入って待っていたらどう?」
男は、少しの間ディアナをにらみつけていたが、このままここにいれば、人に見られ、今の自分には逃げるだけの力がないことがわかっていたので、ディアナの言うなりに家の中に入った。
家に入ると、男は暖炉の前のおばあさんの椅子に腰をおろして、荒々しく言った。
「おいガキ、この傷をどうにかしろ。産婆の子なら傷の手当てぐらいできるだろう。」
他の仲間たちがどうなったのかはわからなかった。
つかまったのか、殺されたのか…仲間のことは気になりつつも、バルバクリスは山の中に逃げ込んだ。
しかし、傷を手当するすべもなく、まだ底冷えのするこの季節、深手を負ったものが山の中にいつまでもいれば、命が危ない。
そこで、脅して薬などの必需品を調達しようと、山を降り、このキネビスの町外れの、幼いディアナが一人きりで留守番をしているこの家までやってきたのである。
バルバクリスは、ディアナを鋭い目つきで、じろじろと見ていたが、やがてこう言った。
「おまえ、いい度胸だな。俺様が恐ろしくないのか。」
「あたし、怪我をしている人は見慣れているの。」
ディアナは、後ろ手に男を見上げて、物怖じもせずに言った。
「おばあさまのところにはもっとひどい怪我をした人だってくるわ。あんた、おばあさまが帰ってくるまで、家に入って待っていたらどう?」
男は、少しの間ディアナをにらみつけていたが、このままここにいれば、人に見られ、今の自分には逃げるだけの力がないことがわかっていたので、ディアナの言うなりに家の中に入った。
家に入ると、男は暖炉の前のおばあさんの椅子に腰をおろして、荒々しく言った。
「おいガキ、この傷をどうにかしろ。産婆の子なら傷の手当てぐらいできるだろう。」
