数日が経ったある日。魔法演習の時間、教室に入って来た橋本先生は「前回も言ったが、今日は『魔力測定』の日だ」と言った。
魔力測定は、年に3回、魔力を測る。その魔力測定の結果を元に橋本先生が皆の成長ぶりを見たり、授業内容を変更したりするのだ。
「出席番号順で行く。1番から魔法実演室まで!」
そう言い残し、橋本先生は魔法でどこかへと消えていった。
順番が回って来るまでの間、僕はノートに落書きをしていた。
ふと顔を上げると、ちょうど僕の前の人が教室に入って来たので、僕は魔法実演室へと向かう。
「…失礼します」
僕が魔法実演室に入ると、橋本先生は魔法円の中心に立つように促した。この魔法円の中心に全力で魔力を込めることで魔力が測定出来るらしい。
「では、始め!」
僕は、両手を魔法円の中心に置いて全力で魔力を込めた。魔法円が白く淡い光を放ち始めた。やがて、魔法円は部屋を覆い尽くすほど大きくなり、光が強くなっていく。僕は、目を閉じて深呼吸をした。
ふわ、と風が起こり、僕の髪やローブを揺らしていく。
「……終わりだ」
と言う先生の声が遠くに聞こえる。それに違和感を覚え、目を開けた。
何故か心臓が嫌な音を立て、息苦しい。僕は、思わず地面に膝を着いた。
「だ、大丈夫か!?」
橋本先生は僕に近寄ってくると、僕の体を支えてくれた。僕の息苦しさは増すばかりだ。
「魔力を一気に使ったせいで体に負担が…?でも、この魔法円は、その負担を無くすものなんだが……」
……違う。これは、悪霊の仕業だ…。
ここで僕の意識は途切れた。



