その日から数日後の放課後。俺が通学路を歩いていると、数日前に太郎くんに言った通りに太郎くんがぶつかって来た。

「お前、あの時の!またぶつかって来て何事だ!?」

この前よりも大きな声が道路に響いた。俺は、ナイスと言わんばかりに太郎くんを見つめた。影から太郎くんの母親が姿を現す。

「私の息子が怪我をした!どうしてくれるの!この間は物で許してやったけど…今回は、そうは行かないよ」

太郎くんの母親が俺に詰め寄るように寄ってくる。俺は、とある建物に向かってじわりと後ずさって行く。

壁に追い詰められた(振りをした)俺は、弱々しい声で「今度からは気をつけますので、許してくれませんか…?」と言った。

太郎くんの母親は「ダメよ!!」と叫ぶ。その時、太郎くんが「止めて…!!」と叫んだ。

「こら、太郎!静かにしなさい!」

「止めて!止めてよ!!」

太郎くんの母親の声を聞かずに太郎くんが叫び続ける。太郎くんの母親は、俺から離れると太郎くんに近づく。

「私の言うことが聞けないの!?」

そう言いながら、太郎くんの母親は太郎くんに向かって拳を振り下ろした。太郎くんの母親は、誰かの「やめなさい!」と言う声に気づくとその手を止める。

「……気づくのが遅すぎです。さっきから彼らが居たのに気づきませんでしたか?」