「深冬…?深冬……!」

ハッと顔を上げると、美影と琥白が僕を心配そうに見つめていた。

「あ、えっと…どうしたの?」

「……大丈夫なの?顔色、悪いけど…」

「大丈夫だよ」

僕が作り笑いを浮かべると、遠くから「ヘラヘラ笑ってんじゃねぇよ!魔法も使えねぇくせに」と聞き覚えのある声が聞こえた。

「……何?僕、中学生の時に言わなかった?『人を見た目で判断するな』って。もう忘れたの?」

「…だから、魔法だって――」

僕は彼らの目の前に移動魔法を使って、立った。彼らは目を丸くするばかりだ。

「……これで分かった?」

僕は、元クラスメイトと僕の友達に近づくと「あいつらの本性は、あれだから。僕、ずっとあんな感じでバカにされて来たんだ」と言う。皆は、驚きを隠せない様子で僕を見た。

…ちょっとぐらい、仕返ししても…ね?

「み、深冬…それぐらいにしとけよ!」

「分かってる。ごめん」

僕はその場で謝ると美影と琥白の元に移動魔法を使って戻った。そして、リーダーに向かって「すみませんでした」と頭を下げる。リーダーは僕の頭に手を乗せ、「大きくなったな。深冬…俺も言いたかったことだから言ってくれて嬉しいよ」と優しく言う。

「……ん!?もしかして…天野(あまの)さん…?」

どこかで見たことがあるな、と思っていた。天野さんは、僕が小さかった頃に、良く僕と美影と英太と遊んでくれたご近所さんだ。気前が良く、とても優しい人だ。

少し離れた所にいる美影たちは、魔法を使って子どもたちを喜ばせていた。