8月に入ったある日、僕たちは魔法学校の図書館に来ていた。理由は――先生に呼ばれたから、というのと琥白に数学を教えるためだ。

この図書館には、美影と氷翠と瑠梨と僕と千晴がいる。やることも無く僕は、広い図書館を飛び回っていた。

「……分からん!」

琥白は、深いため息をつきながら机に突っ伏した。美影と氷翠は、いつものように呆れ顔を見せる。

「…琥白、この問題は――」

いつものように美影が解説を始めた。そこへ魔法演習の担当である橋本(はしもと)先生が入ってきた。

「あ、先生。どうして俺らを呼んだのですか?」

「急に呼び出して悪かった……実は、もうすぐで『体験入学会』があるんだが…」

もうすぐで、魔法学校を志望している中学生に向けての体験入学会がある。

「……ありますね」

「今年は魔法学校の在校生に魔法を使ってもらおう、と急遽決まってな…そこでこの中から3人は体験入学会で、残りの3人は『魔法交流会』で魔法を使ってもらうことになったんだが…大丈夫か?」

「…何故、僕たちを選んだのですか?」

「全員、魔法術に優れているからだ」

「美影と氷翠は分かりますが…俺らも優れているんですか?テストの点数はそこそこだったのに…」

「あぁ。皆を見る限りじゃこの6人が、この2つの体験会に向いているなと思ってな…出れそうか?無理強いはしないが…」

先生は、僕たちに1枚ずつ紙を渡してくれた。僕たちはそれを眺める。

「……いや、行けます…てか、行かせてください」

美影が言うと、その場にいた全員がうなずいた。

「…分かった。誰がどっちに参加したいとかあるか?」

「……特にないかな」

これが皆の意見だったので、先生が勝手に決めてくれた。

「じゃあ、若竹と紅月と水瀬は体験入学会に。近藤と山吹と神城は魔法交流会に出てもらっても良いか?日付は違うし、会場には俺が立っているから」

「分かりました!」