緑に囲まれた小さな村に、彼女らは住んでいた。年中暖かい空気がこの『天界』を包み込んでいる。
「晴之(はるゆき)様!家の中では走ってはいけません!」
その天界に住む神の使いである玲奈は、小さな男の子に向かって怒鳴った。晴之は、玲奈が仕える結依(ゆい)の息子でもうすぐで10歳になる男の子の神様だ。
「お母様に怒られますよ!」
「別に元気だから良いじゃん」
玲奈の後ろから髪の長い女性が現れ、玲奈は慌ててひざまずいた。
「ゆ、結依様!」
「あ、母上!」
晴之は、結依の姿を見るなり結依に抱きついた。結依は、そんな晴之を優しく撫でる。
「玲奈、晴之…話があるんだけど…私、明日転生することになったの」
「母上…その話は本当なのですか!?」
神様でも転生をする。その際は、神の使いは転生するかしないかを決めることが出来る。
「本当だよ…玲奈も転生する?」
「でも、晴之様が……」
玲奈は、心配そうな顔で晴之を見つめた。
「晴之!」
晴之に声をかけたのは黒髪と金髪の女の子。2人は晴之の5歳上姉で、彼女たちは双子の姉妹だ。
「姉上…」
「……晴之は、この2人がいるので大丈夫だよ」
結依は玲奈に転生するように促すと、玲奈に微笑んだ。玲奈は、とても嬉しそうに微笑み返した。玲奈は、それ程結依のことがすきなのだ。



