その日の夜。僕は買い忘れた物に気づき、それを買いに行くために道を歩いていた。

僕の耳に、鋭く尖った刃のようで辛そうな声が入った。何と言っているのか、はっきりとは聞き取れないが怒っていることは確かだ。

僕は、気づかれない程度に近づく。そこには、美影と琥白がいた。美影は泣き崩れ、琥白はとても戸惑った表情をしている。

僕は、それをその場で黙って見ていることしか出来なかった。さっきの声は、恐らく美影だ。それに美影の近くには、美影の義両親もいるので余り手を出したくない。

僕はその場を離れると、視線を地面に落としながら店へと向かった。