「…それで話したいことって?」

「最近、悪霊の様子がおかしいのは気付いてる?」

「気付いてるよ」

僕は、真剣な顔でうなずいた。

「霊能力者である俺らや首飾りを付けている美影が良く倒れるのは何でだろ…この間の美影と英太が入れ替わったことも気になるんだよね…」

「ちょっと待って…美影と同じ体質を持つ氷翠は倒れてないよね?」

「え?あ、うん」

「何で氷翠は倒れないんだろ…」

「さぁ…」

ここで会話は途切れ、静寂に包まれた。そんな静寂を破ったのは――壁にもたれて足を伸ばした状態で座っている美影だった。

「ねぇ…」

「どうしたの?」

「……何で僕も呼んだの?僕、来る必要ないんじゃない?」

テンションが低い声で言った美影の深い青色の目には、うっすらと涙が浮かんでいる。

「…放っておけなかったから」

美影が街を歩いていたら、たまたま千晴と遭遇し、千晴に「美影、一緒に遊ばない?」と誘われたらしい。

「あんな辛そうな顔をしていたら……それに、美影から悪霊の気配がしたからさ」

「そっか…千晴らと遊んでいたら、気分が晴れるんじゃないかなって思っていたんだけど…無理だ。気分は沈んだまま」

僕と千晴は、無言で美影を見ていることしか出来なかった。