コトッと首飾りを机に置き、伸びをした。ついでに霊力も込めておこう…。

首飾りが少しでも欠けていると、効果が薄れるために直す必要がある。僕は飾りに触れ、霊力を飾りに込めた。飾りは本来の輝きを放っている。

「…あ、れ?」

美影が動いた。目を覚ました美影に僕は「しばらく安静に」と指示をした。美影は素直に従い、大人しく僕を見つめている。

「美影、首飾りを直したよ…霊力は残っていたけど」

「じゃあ、何で僕は霊に憑かれて倒れたの?」

「分からない…でも、首飾りの力が薄いのも関係あると思う」

僕は首を横に振り、首飾りを美影に渡した。そして、結界を解く。

「そう言えば、僕…もうすぐ魔法学校に転校するんだ」

首飾りを首にかけ直した美影は、驚いた顔で僕を見つめた。

「だから、よろしくね。…美影がこの街を離れたのって何年前だっけ?」

僕は、美影に問いかけた。美影は「5年くらい前かな」と少し首を傾げた。美影は、中学生に上がる春休みに転校したのだ。毎年、僕の所に遊びに来てくれる。

「そうだ…美影の中にいた霊は払っておいたよ」

美影は「ありがとう」と言って微笑んだ。

僕と美影は雑談をした。その時間が楽しく、気がつくと太陽が沈みかけている。美影は、慌てることなく立ち上がった。

「じゃあ、また明日ね」

美影はそう言い残し、僕の部屋から出ていった。そこへ1匹の黒猫が入ってくる。この黒猫は、僕の使い魔だ。

「ステラ、ありがとう。どうだった?」

『霊石を見つけてきました』

ステラは、口に加えていたものを僕の手に乗せた。『霊石』というのは、霊力に反応して霊の影響を受けやすい人の体を軽くする石のこと。

美影の首飾りは僕がまだ10歳ぐらいの時に作ったやつで、この首飾りは本来の霊石の力を引き出せていない。

「…美影に新しいものを作ってあげないと。飾りを直したとはいえ…未熟な僕が作ったものだから、普通のものよりも効果が薄い…」

『そうですね…』

「ステラ、ありがとう」

僕は、ステラに微笑む。ステラはポンッと音を立て、その場から消えていた。そして、道具を取り出して作業を始めた。