星と太陽に魔法の歌を




着いた場所は――俺と美影と深冬の故郷にある深冬の祖母の家だ。

「……何でここに」

「10人程度が入れる場所、ここしか無くて…」

美影がそう言った時、ふすまが開いて深冬の祖母が姿を現れた。どうやら俺以外の全員は、沈んでいた気持ちもある程度は回復しているようだ。

「ごめん…皆、ありがとう……」

俺は、目の前の光景に泣き崩れた。この涙は、悲しさから来たものでは無い。目の前にある皆が作ってくれた料理と、皆の暖かさに俺は泣いた。

「遅れちゃったけど、千晴。そして、深冬…お誕生日おめでとう」

美影は、俺に向かって微笑んだ。俺も美影につられて笑った。久しぶりに、いつもの笑顔を浮かべたような気がする。

「ありがとう。ありがとう…深冬、お誕生日おめでとう…っ」

俺も今は居ない彼に、お誕生日おめでとう、と伝えた。もし、ここに深冬がいれば…深冬は幸せそうに笑っているだろう。

「……泣いてちゃダメだよね。深冬は、そんな顔を見たくないはずだ」

俺は笑って太郎くんの隣に座り、久しぶりに一日を楽しむことが出来た。