その日から数日後。俺は今日の朝から部屋に閉じこもっていた。朝から何も食べていない。食欲が湧かないのだ。理由は、ただ一つ。今日は――深冬の誕生日だからだ。

いつもなら深冬の家に行って楽しく遊んでいる時間。深冬の心の底からの笑顔を見ることが出来る幸せな時間だった。

でも、今は違う。俺にとって、重くて苦い時間に変わってしまった。

「……会いたい。深冬に…会いたいっ!」

俺が泣こうとした瞬間、数日ぶりに悪霊の気配を感じ、俺は家を飛び出した。

気配を辿って着いた先に居たのは、今まで通りの小さな悪霊。俺は、いつも通りに御札を構えた。その御札を持つ手が震えている。

俺は、悪霊に向かって御札を投げた。悪霊は御札に当たり、消えていく。

「……千晴」

後ろから声をかけられ、俺は後ろを振り向いた。そこに居たのは、太郎くん。次郎くんと三郎くんも居た。次郎くんと三郎くんは雰囲気が変わっているが、誰なのか分かった。

「どうしたんだよ。そんな傷ついた顔して…何かあったのか?」

俺は、太郎くんの言葉に驚いていた。

「千晴先輩…俺らに何があったのか、話してくれませんか?」

三郎くんが俺に微笑みながら言う。本当に3人は変わったな、と感じた瞬間だった。