11月の中旬。今日は、文化祭の日だ。僕は、千晴と一緒に文化祭を楽しんでいる――はずだった。

「千晴を放せっ!!」

突然現れた悪霊は、千晴を軽々と持ち上げており、僕は息苦しさであまり動けずにいた。美影も手を出せないでいる。由美と美依も今この場には居ない。誰にも見られないように魔法をかけている。

……どうすれば…良い?僕は、一体どうすれば…!

僕の心臓は大きく波打ち、嫌な汗が僕の頬を伝う。僕は、珍しく焦っていた。

「…僕の大切な友達を…千晴を返せ!!」

僕が叫んだ瞬間、悪霊の動きが止まった。美影が魔法をかけたのだ。良く美影の目を見てみると、美影の目は、透き通った水色だった。

僕は、素早く悪霊に近づくと悪霊に御札を貼り付けて悪霊を払った。力なく落ちてきた千晴を上手く受け止める。

僕は「千晴!」と彼の名前を呼ぶ。しかし、彼は全く反応しない。千晴の息があることに僕は胸を撫で下ろした。

「……美影、千晴を保健室に運ぶよ」

そう言って、僕は千晴を抱えて保健室へと向かった。