由美が深冬たちに正体をバラしている頃、美影は、不思議な夢を見ていた。

「……晴之さん…」

白髪混じりの頭を優しく掻きながら、美影の祖父である影光はふっと柔らかく微笑んだ。

「影光…その依代の力、来世では消えると良いね」

晴之は、影光に向かって微笑んだ。影光と晴之は、とても仲が良く、まるで祖父と孫の関係のようだった。しかし、影光の転生が決まり、晴之は影光を見送りに来ていた。

「……晴之さん。なぜ、地位の違う僕と仲良くしてくれたのですか?」

「…地位が違うからって、仲良くしたらダメなの?ダメじゃないでしょ…?それに、また来世でも会える。そんな気がする」

晴之がそう言って微笑むと、影光は若い頃に玲奈に見せたように幸せそうな笑みを浮かべた。

(……あれって僕のおじいちゃん…?)

その夢を見ていた美影は、ふと夏休みの出来事を思い出した。美影の意識は、現実にいる時みたいにはっきりとしていた。

(あれ?これって夢なの…?)

――意識の共有だよ。

美影の頭に誰かの声が響き、美影は辺りを見渡した。

――初めまして…美影くん。私は、美依。晴之の姉で、由美の双子の妹。ごめんね?今、お姉ちゃんが皆に説明してくれているんだけど、美影くんには説明していなかったから…。

美依の声を聞きながら、美影は目の前の光景を眺めていた。

――私たちは、神様なんだ。神様が神がかりをした時、まれに神様の記憶を見てしまう時がある。それを『意識の共有』と呼んでいるんだ。

(……意識の共有…じゃあ、これは夢じゃないの?)

美影は心の中で美依に問いかける。

――そう。影光とは、晴之が天界を歩いていた時にたまたま出会ったらしいんだ。その日から晴之と影光の距離はどんどん縮まり、いつしか親友の関係になっていた。影光が転生した後、…時間が無いから説明を省くけど、悪霊を晴之が封印してから、晴之も転生したんだ。

(…なるほど。ねぇ、僕は目覚めることは出来ないの?)

――あるよ。神様の記憶を全て見切ること……今の時間から行くと、多分半日は目覚められないかも。強制的に起こすのは、危険だから起こせないんだ。

(…分かった。皆には、きちんと説明してほしいんだけど……)

――分かってる。