由美は、指先から黒いレーザー状のものを放つ。悪霊は、それを避けた。そして、千晴に向かって飛びかかる。千晴の近くには、誰も居ない。

千晴の前に琥白が入り、琥白の目の前に魔法円が現れ、悪霊の攻撃を弾いた。

琥白は、防御魔法を使ったのだ。魔法円を盾の代わりに使う魔法だ。

「ちょっと、美影くん!体、借りるよ」

そう言って美依は、美影の体の中に入った。美影の瞳は、透き通った水色に変わる。その様子に僕たちは驚いていた。

美影は、悪霊に向かって右手を延ばす。すると、光の鎖が悪霊に巻きついた。

「――散りな」

美影がそう呟いた瞬間、悪霊は光の鎖とともに散っていく。美影の体から出てきた美依は地面にきれいに着地すると、美依が出てきた瞬間に倒れた美影に近寄った。

「……無理させちゃったかな…でも、こうしないと普段の力が出せないから…」

「…私と美依は、双子の神様なんだ」

由美の発言に僕らは、驚いていた。

「美影が放った攻撃魔法の詠唱文に『影落つる神』ってあるでしょ?あれ、私なんだ。『照らす神』が美依。で、私と美依を祀りし者は――美影の祖母。実は、この攻撃魔法は私の祖母が作った魔法なんだ」

「え?魔法って作れるの?」

僕が問いかけると、由美は「作れないよ。作れるのは、神様だけ。しかも、私たちみたいな小さな神様は作ることは出来ないよ」と首を横に振った。