亜美の言っていた里見君とは里見周祐のことだ。彼とは同じクラスで、私は入学式の日からずっと片思いしていた。きっかけは何だったがよく覚えていないが、いつの間にか彼のことが好きになっていた。彼はどちらかと言うと、誰もが振り返るイケメンという訳では無い。しかしハマったら抜け出せなくなるというか…そういう不思議な魅力を持った人だった。そして私は9ヶ月ちょっとの片想いに終止符を打つことにした。亜美の見抜いた通り、いわゆる本命チョコを渡すのだ。なぜそういう決心をしたのかと言うと、私と彼はあと1ヶ月で必ず別々のクラスになってしまうからだ。私は文系、彼は理系。どう足掻いても違うクラスになるのはもう決定事項だ。それならば自分の思いだけでも伝えてこの恋を終わらせようと思ったのだ。密かに人気を集めている彼のことだ。きっと私なんかより可愛い子からチョコを貰うに違いない。だから私はこの恋は続かない、終わらせないといけないと思っていた。なんなら髪の毛を切るために、美容院を予約しようかと本気で考えたくらいだった。