ーー空が間違ってるの?
「はっ何そのかお。私いじめられてますーっみたいな顔やめなよ」
「どうせあとで男に泣きつくんでしょ」
呼吸が浅く、早くなっていく。
感情に押し潰されそう。
「おーい、そこの女子さんにんかた」
「授業始まりますよぉー」
遠くから呑気な声が突き抜けてきた。
その声はくっきりとグラウンドまで響き、二人は何事もなかったかのように、空に背中を向ける。
「「はぁーい」」
さっきよりも声が高くて、同じ人間とは思えない。
「そんなところで何してたの?」
先生は全体を適当に見て軽い口調で言った。
ずっと変わらず目が三日月のよう。
「あのさぁ、聞いてよ藤村せんせぇ。青笑さんがひとりぼっち極めすぎててヤバい」
「そなの?」
ーーえ?
「だから友達の作り方おしえあげてたの、いじめじゃないからねっ?」
「へぇー」
藤村先生は適当に相槌を打ち、空に視線を流した。
「よかったね」
どんっと、突き飛ばされたように痛い。
少しでも、分かってくれると期待していたバツは重かった。
ーー助けてよ