隣を見あげると、きゅっと口をつぐみ、首を横に振っている涼太と目があい、空はこくこくと頷いた。


「あの絵ぇ?君たちぃいったいなにを…」


ふたりして黙り込んでいると、先生は「んふぅ」と謎にセクシーなため息をこぼす。


「…もう一限目の授業が始まるというのにぃ…君たちはいったいここでなにをしていたんだねぇ?」

「それにまた君かねぇ…今日こそはきちんと反省文をかいてもらうからねぇ!」


この人さっきから涼太ばっか睨んでくる…

ちがうのに、空のせいなのに……


「あのっ…!りょうたはなにも悪くなくてっ」

「んん!」


わざとらしい咳払いと共にキッと睨まれ、少し怯む。

それでも負けじと口を開いたとき、涼太の背中で視界がいっぱいになった。


「ごめんなさい」

「俺が悪いんです」


え…なに…言って…


岸はなにも悪くないじゃん。

空が自分勝手に引き留めて…



「俺が彼女をここで引き留めてしまったから…」

「ひきとめたぁ?」



先生は怪訝そうに首を傾げた。