お前なんかいなくなれ。
泣きながら笑えば、仁乃はぼうっと立っていた。
でも、やがて全部わかったみたいに、私の涙をぬぐって笑った。そう、確か、泣きながら笑っていた。
「わかった」
翌日、学校に行くと仁乃の姿はなかった。
あの人気者で有名な仁乃が急に学校に来なくなり、気にする生徒たちに先生も言葉を濁したから、それ以上誰も言及出来なかった。それでいて予想や空想が好きな私たちだ。一緒に住んでいた母親が病気で倒れただとか、一家揃って夜逃げしただとかそんな噂が生徒間でまことしやかに囁かれ始めたころ。
仁乃の遺体が河川敷で発見されたと、ある日の朝礼で告げられた。



