その言葉に。またもや…美結はムッとし…

「…し、知ってるよ! そんなの…
バカにしないでよっ!」

美結の言葉に、律は、冷ややかに微笑んで見せた…

「…ふ~ん。じゃ!
さっきの犬は、君が、可愛いかったから…狙ってたんだよ…きっと…
気をつけるんだね?」

と、笑いをこらえながら…そぅ、言っていた…



律は、颯爽…と、その路地を歩いていく…


その後ろ姿に…

「…なんなの、あれ?」
《ヘンな人っ! ヘンだよ、ヘンっ!


背は高いし、カッコイイのに…

なんで、あんなに…っ、言うことがヘンなのよっ!


でも…。》

美結は、微かに高鳴っている…自分の胸元に手を触れ…

「…ヤダ…っ」
《凄い…、ドキドキしちゃってる…

さっき…、笑ってるトコ、今まで見たことないような雰囲気だった…

ちょっと…ドキドキしちゃった…》


その言葉とは、打って変わって…胸の鼓動が早まっていっているのを感じた…

「……っ」
《犬には、あんなに、優しく…笑うんだ…。

なんか、あんな笑顔見れて…

嬉しい…っ

【可愛い】って…、ちょっと…嬉しい…》
(そういう意味ではないのだけど。。)



そのすぐ後に、律が言っていた…【里見八犬伝】という本について…ネットで検索をしてみた…

あらすじは、ネットで載っており…それを読んでみたところ…

「…ホントだ~っ」
《犬の子を妊娠するお姫さまか…、ホントだったぁ~…!

お姫さまが、飼い犬の念で八匹の犬を妊娠か…っ

お姫さまは、亡くなって…、犬も亡くなり…

8人の犬の名を持つ剣士の話し…か…》


自分の無知さ…に、呆れてしまっていた…

それ以上に、あの時…あの犬に向けられていた…笑顔は忘れられるはずもない…


「……っ」
《西園寺 律くん…か、確か…

同じ中学から来ている人っていないんだよな~…


いつも、物静か…で、穏やか…な人…だけど…

入学してひと月…で、隣のクラスだけど…、ウチのクラスの女の子たちに人気…あるんだよな~…》


もっと。知りたいな…と、言う所から始まっていた…