「それなら!
3ヶ月でもいいから、付き合って!」
《言った…っ!》


「…はぁ…?
ちょっと、待て! いまの俺のハナシ、聞いてた?」

「聞いてる! 《好きな人はいる》けど、付き合ってる訳じゃないんでしょ?」

「…あ…、うん。」

「それなら、試験的でも、付き合って!
もし、それで…やっぱり、どうしてもダメなら…それでもいい!」


美結は、律から視線を逸らさずにそぅ、言った。。律は、美結の言葉に、圧倒された…

「あたしのこと、嫌いなワケじゃないんでしょ?
…それなら、その3ヶ月で今より少しは好きになってくれる可能性もある訳だし。」

「…ポ…ポジティブだねっ。」

「うん! あたし、西園寺くんのこと、簡単に諦めたくないの。
本気で好きなの…、分かって欲しい…」


その年の夏。。

やっと…の、一大決心をし、美結はようやく…律に告白をした…

が、律の方は、美結の気持ちは、既に気がついていたようだった…

律からは、【好きな人がいる】…と、言われた。。が、付き合っている訳ではなく、今後もそういう事はない…というコトだった…

それならば…という最後の提案だった…が。。


これは、美結が瑠奈や悠斗に相談し、持ち出した提案…

今まで…の、友達としての美結を律は、知ってはいるだろうが…、恋人として試用期間を設けて付き合ってみては?…ということだった…

律が、美結の【付き合って欲しい】という告白に、即答しなかった場合…の案として。。

「俺、三枝のことを好きになるとは限らないよ…
試験的に付き合うからと言って…優しく出来るか、分からない…」

【優しく出来るか、分からない…】…と、そう言いつつも…。。今までの律を知れば…そういう対応はしない…と、美結は知っていた…

「うん、いいよ…それでも…」

律は、しばし…考え…。。はぁ…と、小さくため息を1つついた…

その次の瞬間…、微かに笑みを浮かべた…

「…分かった…」

先程とは違い…、少し…優しい声になりつつあった律の言葉に…美結は、笑顔になり…


「…嬉しいっ! ありがとう…っ」

そんな美結に、律は笑ってみせ…

「前向きだな…。そこが三枝のいいとこだよね?」

と、微笑んで見せた…が。。どこか寂しそうに…そぅ、言った…


その時は、知らなかった…

彼には、人に言えない秘密があったことに…


それまでは、【友達】…としての当たり障りのない会話しかしていなかった…

が、その日は、そのまま2時間も話し込んでいた…