麗も和樹も飲み慣れている感じじゃない。

和樹は一缶飲みきらないうちに、真っ赤になってひっくり返っている。



麗はテーブルに両肘をつき、トロンとした目で俺をのぞきこんだ。

気の抜けたその表情は、女にしか見えない。



「遼ってさぁ、彼女いるの?」

麗の顔が俺の肩に近づく。



麗の警戒心が無くなったのはいいが……

今のあいつは無防備すぎる。



そう感じるのは、俺にやましい心があるからだろうか。



麗の体を遠ざけて、俺は一歩下がった。