その日、まだ年が明けたばかりで、久々にまとまった休みがとれていた。

地元に帰省したり、海外に旅行したり……
充実した正月休みを送っているメンバーが多いのか、事務所の寮は昼間から静まり返っている。



そんななか、親の反対を押し切って音楽の道に進んだ俺は、地元に帰ることもなく人けが少ない寮に残っていた。

麗も、何か事情があるのだろうか。

あいつから家族の話を聞いたこともなければ、まとまった休みがとれたからといって実家に帰っている様子もない。



せっかくの休みだが、特にやることもない。

部屋にこもって、楽曲の制作に取りかかった。



今までは、ダンスが()えるようにアップテンポのものが多かった。

バラードまではいかないが、たまには違うイメージのものもいいかもしれない。